明日に架ける旅

5人と4人と9人に魅せられて

「ピンクとグレー」感想

大変遅ればせながらではあるが、加藤シゲアキ作「ピンクとグレー」を読破した。読みたい、とは以前から思っていたものの、なかなか読書をする時間を作ることができず、現在に至ったが、映画化を機に今だ!とばかりに手に取った。

 

 

そういえば、映画「ピンクとグレー」公開前に、映画を見に行った際に上映前のCMがあり、隣にいた読破済みの友人から「ネタバレだからCM見ないで!」と目を隠され、私も聞かないように見ないように一生懸命耳を抑えて、無事ネタバレを食らわずに読むことができた。

 

 

まず、全体的な感想としては、繊細で面白い。また、心情描写が上手く、登場人物に感情移入することができ、豊かな語彙のおかげで、文字を追うだけで情景が映像のように浮かんだ。

 

 

甘酸っぱい少年たちの友情が、成長し芸能界という世界に足を踏み入れることによって嫉妬の渦巻きへと変化する過程が生々しく、主人公とその友人とで、シゲ自身はどっちに近いのだろう、と読みながら当てはめて考えていたが、どっちにも当てはまるようにも思えた。芸能人として、アイドルとして、ジャニーズとして、NEWSとして、様々な経験を積んできたシゲにしか書けない文章であると思った。いい意味でアイドルという職業に就いているということが影響していると感じた。

 

 

私だけかもしれないが、「石川」のことをずっと男の子だと思い込んで読み進めていたため、「サリー」と呼ばれ女性であるという記述があるのを見て、ミスリードにまんまと引っかかった自分に面白さを感じるとともに、少し驚いた。

 

 

最後はとにかく衝撃。ただその一言。衝撃の中にも垣間見える「美しさ」。これが表現されているのは本当にすごい。引き込まれ度合が半端なかった。

 

まだ読んでいない人には、声を大にしておすすめしたい。

加藤シゲアキの熱量を感じさせる作品だった。2作目、3作目はまだ手に入れていないが、近々読みたいと思う。